飲食営業許可申請について

カフェ レストラン 飲食店

カフェって、食事をしたり、仕事をしたり、息抜きをしたり、一日の時間の流れをちょっと変えるような、特別な空間だったりしませんか?そういう空間を、自分で作ってみたい!と思う方もいらっしゃることでしょう。

カフェやお寿司屋さんなどの飲食店を開業するにあたって必要な申請についてお話しします。そんなにややこしい手続きではないので、自身でやってみましょう!

※この稿の内容は、主に東京23区の基準で書いています。

営業許可申請手続きの流れ

食品に関する営業を行う場合、業ごとに適切な許可を得ることが必要です。食品を扱う営業は、食品衛生法または都道府県の条例において、次の4つに分類されています。

「調理業」「製造業」「処理業」「販売業」

飲食店営業は、このうちの「調理業」に該当します。

営業許可申請手続きは、次のような流れになっています。

1.事前相談

2.申請書類の提出

3.施設検査の打ち合わせ

4.施設完成の確認検査

5.許可書の交付

6.営業開始

順に内容を確認していきます。

事前相談

開こうとしている店舗施設が、飲食店営業の許可基準に合致しているかを確認するため、施設の工事着工前に図面等を持って、申請に先立って所轄の保健所に相談に行きます。

また、食品を扱う場合は、「食品衛生責任者」を設置しなければなりません。飲食店は当然食品を扱いますので、必須です。

地域等によっては、貯水槽の水や、井戸水などを使用する場合もあるかもしれません。その場合はその水について「水質検査」が必要です。

申請書類の提出

申請書類と添付する書面については、保健所ごとに確認する必要がありますが、おおむね次のような書類を準備・提出します。

・営業許可申請書
・営業設備の大要と配置図
・許可申請手数料
・登記事項証明書(法人の場合)
・食品衛生責任者の資格を証明するもの
・水質検査成績書(井戸水等を使用する場合)

書類は、施工工事完成予定日の10日くらい前に提出するものとされています。営業開始予定日の10日前ではありません。

営業許可申請書は、持参で提出することとなっている場合が通常です。自治体によっては、電子申請をすることができるところもあります。所轄の自治体のホームページを確認したり、事前相談の際に聞いておくといいでしょう。

申請書の書式や、大要・配置図は、事前相談の際にもらうことができますし、各自治体の保健所ホームページからダウンロードすることもできます。

施設検査の打ち合わせ

申請書の内容に不備がなく、無事に受理されたら、保健所の担当の人と、検査の日程について打ち合わせます。

施設完成の確認検査

保健所の職員が店舗に訪れ、施設基準に適合するかを確認します。このときは、店舗の営業者が立ち会う必要があります。

検査されるのは、主に次の項目です。

・場所の清潔さ
・建物の耐久性・構造
・区画が目的に合致しているか
・取扱量に応じた面積を有しているか
・床が、耐水性材料で排水がよく、清掃しやすい構造か
・内壁が、床から1mまで耐水性で清掃しやすい構造か
・明るさが、50ルクス以上であるか
・換気
・周囲の構造、清掃のしやすさ
・ねずみ族、昆虫等の防除
・洗浄設備が、用途によって分かれているか、手指の消毒装置はあるか
・更衣室の場所、清潔さ
・器具等の整備・配置・材質
・原材料等の保管設備
・必要な機能を有する清潔な食品運搬具があるか
・温度計・圧力計等の計器類
・飲料水を豊富に供給できる給水設備
・便所の衛生について保持されているか
・汚物処理設備にふたがついているか、耐水性であるか
・作業場専用の清掃器具が格納されているか

ほか、飲食店営業であれば、

☆冷蔵設備、☆洗浄設備、☆給湯設備、☆客席、☆客用便所

について確認をされることになります。ここでは概要について記載しましたので、実際の申請の際には、事前相談や申請の際に、保健所職員から細かく注意点を聞くといいでしょう。

なお、不適合事項があったとしても、申請自体がダメになるわけではありません。不適合とされた箇所を改善し、改めて検査を受けることができます。

許可書の交付

施設適合基準を満たしていることが確認されたら、とうとう営業許可書の交付です。

しかし、施設適合確認後、交付まで数日かかります。営業許可書が手元に来るまでは営業することができませんので、営業開始日についてはあらかじめ保健所担当者と打ち合わせておきます。

営業開始

営業許可書が交付されたら、営業を開始することができます。

許可書の受け取りには印鑑が必要ですので、忘れずに持って行きましょう。

食品衛生責任者の名札を、店内の見やすい場所に掲示しなければなりません。東京都では、名札は、幅10cm以上、高さ20cm以上であって、食品衛生責任者であることと、氏名が記載されていることが必要です。一般社団法人東京都食品衛生協会では、食品衛生管理者プレートの販売を行っています。

営業開始後の届出等

営業許可を取ったからあとは取りっぱなしでいい、ということはありません。

更新手続き

営業許可には期限があります。期限後も引き続き営業をする場合には、更新申請をします。

保健所ごとに確認する必要がありますが、提出書類はおおむね次のようなものです。

・営業許可申請書
・現在受けている営業許可書(営業設備の大要・配置図も添付します)
・許可申請手数料
・食品衛生責任者の資格を証明するもの
・水質検査成績書(1年以内に行ったもの。井戸水等を使用する場合)

許可を申請するときと大体同じです。

変更届

営業許可を申請した際の事項に変更が生じた場合は、変更届を提出します。

変更届が必要な事項は、氏名(代表者氏名)、商号、住所、所在地、名称、屋号、設備、法人形態等の変更についてです。

・営業許可申請事項変更届
・営業許可書
・変更事項を明らかにする関係書類(戸籍謄本、登記事項証明書、変更部分を明らかにした図面及び営業施設の大要・配置図等)

設備や法人形態の変更についての必要書類は、所轄の保健所に確認したほうがいいでしょう。

その他

他にも、廃業届、営業許可者の地位の承継にかかる届出、生ガキやふぐの取扱いに関する届出などがあります。
届け出ている事項に変更があったとき、事業内容に変化を加えようとしているとき、新しいことを始めようと考えているときなどは、所轄の保健所に相談してみると手続き的な間違いを防ぐことができます。

食品衛生責任者

食品営業を行う場合、許可施設ごとに必ず1人、食品衛生責任者を設置しなくてなりません。

食品衛生責任者資格取得方法

食品衛生責任者になるには、6時間以上の養成講習会の受講が義務付けられています。

受講科目は次のとおりです。

☆公衆衛生学(伝染病、疾病予防、環境衛生、労働衛生等)…1時間

☆衛生法規(食品衛生法、施設基準、管理運営基準、規格基準、公衆衛生法規等)…2時間

☆食品衛生学(食品事故、食品の取扱い、施設の衛生管理、自主管理等)…3時間

東京都では、一般社団法人東京都食品衛生協会が食品衛生責任者養成講習会を実施していますが、全国どこで受講しても、修了証書の効力は同じです。※平成9年4月1日以降のもの。

講習は1日で終わり、その日に修了証書が交付されますが、注意すべきなのは講習の定員です。定員がいっぱいになってしまうと、キャンセルが出ない限り受講はできません。日程を確認し、開業予定に対し余裕をもって受講申し込みをしましょう。

東京での受講については、一般社団法人東京都食品衛生協会のホームページをご覧ください。

なお、栄養士・調理師・製菓衛生師ほか、定められた資格を有しているものは、講習が免除されます。

食品衛生責任者の変更

食品衛生責任者を変更した場合は、届出が必要です。

・食品衛生責任者変更届
・食品衛生責任者の資格を証明するもの

まとめ

文字で読んでみると面倒に思えるかもしれませんが、1つ1つやっていけばそんなに難しくはありません。自分ですべてやることで、お店に対する愛着が増し、また事業計画やお店の強みが明確になっていくことでしょう。

東京都の食品衛生について詳しく知りたい場合は、こちらのサイトをご覧ください。参考サイト:食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト

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